郵便局が取り扱うゆうちょ銀行には、お金を借りる方法が3種類あります。
その代表的な方法が、貯金があるとお金を借りられる自動貸付と呼ばれる制度です。
カードローンこそ取り扱いを終了しているものの、様々な商品を取り扱うゆうちょ銀行ならではの借入方法があります。
普段ゆうちょ銀行を利用している人や、すでにゆうちょ銀行で定期貯金をしている人に、郵便局で借りる方法や条件についてまとめました。
Contents
ゆうちょ銀行(郵便局)でお金を借りる方法は3種類ある
郵便局に行けば、郵便サービスのほかに各種貯金や保険など金融商品も多く取り扱っています。
現在ゆうちょ銀行が現在扱っているローン・貸し付け商品は、以下の3つ。
- 貯金担保自動貸付け
- JP BANKカードのキャッシング枠
- かんぽ生命の契約者貸付け
順に詳しくみていきましょう。
ゆうちょ銀行の貯金担保自動貸付でお金を借りるには?
ゆうちょ銀行には担保となる定期貯金、定額貯金を持っている人のみ利用できる「自動貸付」と呼ばれる制度があります。
貯金担保自動貸付は、ただゆうちょ銀行の預金口座を持っているだけでは利用できません。
サービスの利用条件は、担保定額貯金または担保定期貯金を行っていることです。
担保定額貯金は毎月決まった額を定期的に貯金していくもので、最低6ヶ月は引き出せません。
一方、担保定期貯金は指定した期間お金を預けておくものです。
このサービスは「担保」の名前が付く上記2つの貯金のみ対象で、通常貯金や普通の定期貯金では利用できない点に注意が必要です。
国債と財形貯金を担保にする自動貸付は終了している
以前は貯金を担保にする貸付けのほかに、国債や財形貯金を担保にした自動貸付サービスも行っていました。
ただし、これらのサービスは2019年3月末をもって新規受付を終了しており、現在は取り扱いがありません。
現在もゆうちょからお金を借りる方法としてネット上の情報に上がってくる場合がありますが、そちらは古い情報となるため注意しましょう。
貯金担保自動貸付を利用する流れ
貯金担保自動貸付を利用して現金を受け取るには、ゆうちょ店頭窓口とATMの二種類の方法があります。
店頭窓口の場合は総合口座通帳と届け印、本人確認書類が必要ですが、先ほども説明したとおりATMでは通常の払い出しと同じ手順で借入可能です。
便利なのはATMでの操作ですが、通常貯金の残高を0にしたくない場合は窓口を利用する必要があります。
その際必要な本人確認書類は、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど顔写真付きのものなら1種類でOK。
健康保険証や年金手帳など、顔写真がないものは追加で他の確認書類が必要となります。
例えば電気やガス、水道など公共料金の領収証書が追加の本人確認書類として使用可能です。
ゆうちょ銀行の貯金担保自動貸付でお金を借りるメリット!審査なしで何度でも利用できる
自動貸付ではカードローンとは異なる独自のメリットがあります。
- 担保があるため審査なしで借入できる
- 1,000円単位で何度でも利用できる
- ATMでキャッシュカードや通帳を使って借入できる
- 消費者金融のように在籍確認がなくバレにくい
特に担保有りの場合、他で融資を受けるよりも借入までの手間が全く違います。
自動貸付のメリットを詳しくみていきましょう。
担保があるため審査なしで借入できる
自動貸付を利用すると、ゆうちょ銀行での審査なしで借り入れができます。
カードローンで契約時に審査が必要なのは、返済能力の有無を確認しなければならないため。
無担保で返済不能となれば、貸した側はお金を回収できず大きく損してしまいます。
その点で貯金担保自動貸付は担保があり、もし返済できなければ減るのは自分の貯金です。
貸し倒れてもゆうちょの損にはならないので、審査不要で借入可能となります。
1,000円単位で何度でも利用できる
自動貸付を利用すると、借入可能な額の範囲内であれば、回数の制限なく何度でも利用できます。
また、1,000円単位でお金が引き出せるので少しだけお金が足りない時にも便利です。
他のカードローンだと現金の引き出しが1万円単位でしか行えない場合もあるので、利便性が高いと言えます。
ATMでキャッシュカードや通帳を使って借入できる
ATMで通常貯金からお金を引き出す際、預金残高を超えて払い出しをすると自動的に貸付が行われます。
貯金で使うキャッシュカードや通帳でお金が借りられるので、お金を借りていると気付かれにくいのもメリット。
ただし、利用明細や通帳の残高がマイナス表示になるので、家族に見られると怪しまれる可能性も。
家族にバレたくない場合は、明細や通帳の管理に十分注意しましょう。
消費者金融のように在籍確認がなくバレにくい
消費者金融や銀行のカードローンは、審査の際に勤務先に電話をかける「在籍確認」が行われます。
担当者の個人名を名乗るなど、カードローンの申し込みがバレないよう最大限の配慮はしてもらえますが、電話連絡を避けたいと考える人も多いでしょう。
その点、貯金担保自動貸付は審査そのものがなく在籍確認も行われません。
電話によりバレるリスクはまずないので、安心して利用できます。
ゆうちょ銀行の貯金担保自動貸付にはデメリットも!限度額は貯金金額の90%まで
審査なし、ATM利用可能などメリットばかりが目につく貯金担保自動貸付ですが、少ないながらデメリットもあります。
- 貯金金額の90%以内しか借りられず高額融資には不向き
- 返済期限が近づくと案内ハガキが届く
特に借入可能額に限界がある点は、事前によく知っておかなければなりません。
連絡がこないと油断していると、思わぬところから家族に借入がバレてしまう可能性もあります。
貯金金額の90%以内しか借りられず高額融資には不向き
貯金担保自動貸付の融資限度額は、貯金金額の90%以内となり、どんなに多額の担保付預金をしていても上限は300万円となります。
例えば、50万円借りたいとなったら貯金金額は55万円以上必要で、もともと多額の貯金がなければ高額融資は不可能です。
今現在貯金があまりなく、貯金担保自動貸付の対象となる貯金も無い場合は急ぎの借入ができません。
返済期限が近づくと案内ハガキが届く
貯金担保自動貸付の返済期限は2年で、それまでに満期を迎えるならその期日が返済期限となります。
督促などがくることはありませんが、返済期限が近づくとハガキで案内が届きます。
郵便物は家族にバレるきっかけになりやすいので、期日までに完済して案内が届かないようにするか、こまめに郵便受けをチェックして誰にも見られないようにしましょう。
ゆうちょ銀行のJP BANKカードでお金を借りるには?
ゆうちょ銀行では、JP BANKカードというクレジットカードを取り扱っています。
ゆうちょ銀行キャッシュカードと一体化でき、利用によりポイントが付いたり各種優待があったりと一般的なクレジットカードと同様便利に利用できます。
JP BANKカードにはショッピング枠のほかにキャッシング枠もあり、審査によっては最大50万円まで借入可能です。
借入はゆうちょまたは提携ATMでお金を引き出すほか、インターネットや電話で振込依頼も行えます。
JP BANKカードで借入をするメリット
JP BANKカードはキャッシュカードと一体化していればそのカードで借入ができ、ゆうちょ銀行ATMから借入できるのでバレにくく利便性が高いです。
また、キャシングリボ・キャッシング一括払いともに年利15%で借入可能。
他の銀行系クレジットカードのキャッシング利率を見ると、例えば三井住友カードの一般会員は年利18%、三菱UFJニコスカードは年利14.95%~17.95%です。
同様に、流通系クレジットカード(例えばイオンカードやエポスカード)の多くがキャッシング利率を18%としています。
JP BANKカードは他社クレジットカードよりも利率が低い傾向にあり、利息が抑えられる可能性が高い点は大きなメリットです。
ちなみに、キャッシングリボ払いで10万円を毎月5,000円ずつ返済した場合の返済総額は、18.0%だと11万7,239円、15.0%だと11万4,361円です。
参考:シミュレーション
担保となる貯金やかんぽ生命の契約者でなくても借りられる
ゆうちょ銀行にはお金を借りる方法が3種類ありますが、貯金担保自動貸付とかんぽ生命の契約者貸付ではいずれも担保が必要です。
どちらのサービスとも契約していない場合、お金に困ってからの契約は非常に困難で現実的ではありません。
その点、ゆうちょで唯一担保無しでお金が借りられるJP BANKカードは手軽さがあり、急ぎでお金が必要なときにも重宝する存在です。
JP BANKカードで借入をするデメリット
JP BANKカードのキャッシングは利用しやすさと金利面で大きなメリットがありますが、デメリットが全くないわけではありません。
利用にあたっての最大のデメリットは、振込に時間がかかる点です。
ATMならすぐに現金が引き出せますが、インターネットや電話から振込依頼は申し込みから5営業日後と少々時間がかかります。
カードローンでは、融資を申込んだら即日振り込みを実行する場合が多いので、同じ感覚で利用すると少々不便です。
とはいえ、一般的なクレジットカードのキャッシング機能は振込融資サービス自体が無い場合もあるので、あくまでおまけのサービスと考えておくのが良いでしょう。
クレジットカードであるため審査が必要
ゆうちょ銀行の他の借入手段と唯一違うのが、利用にあたって審査が必要な点です。
クレジットカード作成時にキャッシング枠を設定して審査するほか、すでにカードを持っている場合でも後から設定・増枠ができます。
ただし、後から設定する場合はwebだけで手続きが完結せず、時間と手間がかかり不便です。
まずは申込書の資料請求を行い、書類に記入して提出とアナログな方法となるので、クレジットカード作成時にキャッシング枠も申込んでおくと手続きがスムーズに進みます。
ゆうちょ銀行の口座をもっていなければならない
他の銀行系クレジットカードでは、自行の口座不要で作成可能としているところもありますが、JP BANKカードはゆうちょ銀行口座が必要です。
なお、口座開設は通帳の発行がない「ゆうちょダイレクト+(プラス)」のみ郵送で開設手続きができますが、その他はゆうちょ銀行窓口に行って手続きしなければなりません。
ネット銀行のように、web申し込みと郵送物が届くだけで口座開設が完結しないので、その点やはりアナログで不便さが残ります。
JP BANKカードを申し込む流れと発行方法
JP BANKカードは、一般カードであれば高校生を除く満18歳以上で、日本国内に在住していれば申込できます。
すでにゆうちょ銀行口座を持っていて、口座に登録された住所と現住所が同じであればweb完結でカードが作成可能で便利です。
もし口座がない、口座を作ってから住所が変わって届け出ていないなどの場合は、ゆうちょ銀行窓口でのみ申し込み手続きができます。
窓口で提出するJP BANKカード入会申込書は、あらかじめwebから申し込んで郵送してもらえるので、手続き時間を短くしたい方はこちらも利用してみてください。
ゆうちょ銀行のかんぽ生命の契約者貸付なら即日の借り入れにも対応
ゆうちょ銀行から申し込めるかんぽ生命には、契約者がお金に困った時に貸付を行う「契約者貸付制度」があります。
すでにかんぽ生命で契約している人は、契約者専用サイト(マイページ)から借入できる金額の確認や申し込みが行えて、手続きは簡単です。
あまり一般的に知られた制度ではありませんが、もし利用できるなら消費者金融よりもずっと好条件で借入できる場合もあります。
かんぽ生命の契約者貸付で借入をするメリット
契約者貸付とカードローンとの違いは、担保の有無による差が非常に大きいです。
担保があると申込時から借入までがスムーズで、金利が低いので総返済額が抑えられます。
それぞれのメリットについて、より詳しく見てみましょう。
即日融資も対応しており審査なしでも借りられる
銀行の各種ローンは、審査手続きの都合で即日融資は不可能です。
ただし契約者貸付は別で、申し込み手続きを行えば最短で当日中に預貯金口座にお金が振り込まれます。
ローン審査では必ず行われる、信用情報機関への照会がないので延滞履歴があっても問題ありません。
また、職場への在籍確認が無く職場バレを気にする人も安心で、本人に安定した収入がなくても借入可能です。
これは契約者貸付が受け取る保険金(払戻金)を担保にしてお金を借りるためで、もし返済されなくても将来受け取るはずの払戻金から借入額を差し引けるからです。
かんぽ生命側は貸し倒れリスクがないため、返済能力は問われず審査無しで即日融資が受けられます。
他社のカードローンなどより低金利で借りられる
担保はあっても、融資を受けるからには金利が発生して利息も支払う必要があります。
消費者金融のカードローンなら、大手のアコムの金利は実質年率3.0%~18.0%となり、他社もおおよそこのくらいの金利で設定されています。
初めての利用者は借入金額ごとで設定された上限金利が適用され、例えばアコムで50万円借りるなら金利は18%となる可能性が高いです。
一方、契約者貸付の利率は2.5%~6.0%と、消費者金融の半分以下の金利です。
利率は保険に加入した時期によって定められ、例えば平成11年4月1日から平成19年9月30日までの間に加入した人は最も低い2.5%が適用されます。
なお、この金利は借入から1年間のもので、それ以降の1年間は2.5625%と少しだけですが金利が上がりますが、それでも低金利なことには変わりありません。
18%と2.5%では具体的に金利差がどれほど総支払額に影響するのが、10万円を1カ月間借りた場合の利息で比較すると以下のようになります。
金利 | 1ヶ月で発生する利息 |
---|---|
2.5% | 206円 |
18% | 1,389円 |
このように、10万円の借入だとひと月だけで1,000円以上の利息差が生まれるので、低金利のメリットは大きいと言えるでしょう。
かんぽ生命の契約者貸付で借入をするデメリット
審査が無く低金利の融資という面だけ見ると文句の付けようがない好条件にも見えますが、何ごとにもデメリットはあります。
まず、融資を受ける前提条件としてかんぽ生命の対象商品で契約している必要があります。
借りられたとしても、返済に関して一般的なカードローンのようにシステム化されておらず、返済期限が短いのも契約者貸付の特徴です。
この2つについて、順に説明していきます。
そもそもかんぽ生命の契約者でなければならない
この制度は、かんぽ生命にお金を預けている契約者のためのものなので、貸付の対象も当然契約者のみです。
また、かんぽ生命の金融商品すべてでこの制度を利用できるわけではなく、定期保険や保証期間の設定がない終身年金保険、財形商品、確定拠出年金は対象外となります。
融資金額の基準となる払戻金は、毎月保険料を払って積み立てているので、契約者であっても契約年数が浅すぎると借入できない可能性がある点にも注意しましょう。
返済期限が1年間とかなり短い
契約者貸付には毎月定額支払って返済するシステムはなく、お金の都合がつき次第返さなければなりません。
その返済期限は原則1年と短く、貸付期間を更新によりもう1年期限を伸ばせますが、それでも最大2年以内に完済が必要です。
額が大きいと2年では完済が難しくなってしまいますが、期限内に支払えなかったら積み立てた保険料から支払われ、受け取れる保険金は減されます。
その額は単純に返済額を引くだけでなく、本来そのお金があれば得られた運用益なども加わり、借入額よりも大きい額が保険金や払戻金から引かれることに。
大幅な減額は将来設計に大きく関わるので、審査の有無に関わらず確実に返済できる金額を融資してもらいましょう。
かんぽ生命の契約者貸付を利用する流れ
かんぽ生命で契約者貸付を利用するには、インターネット上で会員サイトから申込むか、ゆうちょ銀行のかんぽ保険窓口にて手続きを行うかの2通りです。
このうち窓口を利用する場合は、まず以下の書類を準備しましょう。
- 保険証券(保険証書)
- 印鑑
- 契約者の本人確認書類
- 契約者名義の預貯金通帳またはキャッシュカード
なお、本人確認書類は運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真があるものは1つのみで大丈夫です。
ただし、健康保険証や年金手帳など顔写真が無いものは2種類揃えるか、公共料金の領収書と組み合わせて提出しなければなりません。
準備ができたら窓口に行って手続きを進めますが、その際200円の収入印紙を貼った貸付申込書が必要になります。
申込内容を確認後、特に問題がなければ口座にお金が振り込まれて手続き完了です。
ゆうちょ銀行でお金を借りる3つの方法を理解して申込しよう
銀行の中でも比較的身近な存在であるゆうちょでは、カードローンの取り扱いはないものの3つの方法でお金が借りられます。
JP BANKカードはゆうちょ銀行のクレジットカードで、ゆうちょ銀行の口座を持っていれば申込可能です。
有担保融資である貯金担保自動貸付けやかんぽ生命の契約者貸付は、利用できる人が限られてはいるものの低金利で審査が無いという大きなメリットがあります。
2つの有担保融資は、借入条件が良いのでもし申し込み対象者でお金に困っているならぜひ利用してほしいです。
ただし、どの方法でも必ず完済しなければならなりません。
督促がないからと放置すれば将来困ることになるので、返済計画はしっかり立てて資金管理を行いましょう。
ゆうちょ銀行のカードローン「したく」は終了している
ゆうちょ銀行にもかつては他の銀行のようにカードローンがありましたが、こちらは2018年10月に終了しました。
これはスルガ銀行との提携解消が影響していて、カードローン「したく」はスルガ銀行が取り扱う商品だったためです。
現在、ゆうちょ銀行はソニー銀行と新生銀行の2行と業務提携しており、住宅ローンのみ申し込みや契約を媒介しています。
そのため、今後カードローンの取り扱いが再開される可能性はまだあると考えてよいでしょう。