毎日の生活がギリギリの年金暮らしをしている高齢者でも、様々なケースで高額な出費が必要になる場合があります。
元気なうちに旅行に行っておきたい、急遽大がかりなリフォームが必要になったなどお金を借りたい内容は様々です。
しかし高齢者がお金を借りる方法は働き盛りの20代や30代と比べると限定され、特に年齢制限の壁は高齢になるほど高くなるもの。
そうはいってもシニア向けのローンや、高齢者への融資方法がまったくないわけではありません。
今回は高齢者がお金を借りるにはどうしたらよいか、目的や状況、年齢に合わせて分かりやすく丁寧に解説します。
Contents
65歳以上の高齢者がお金を借りる方法は5つ
65歳以上の高齢者がお金を借りる方法は主に5つあります。
- 消費者金融カードローン
- 地方金融機関のシニア向けローン
- 不動産担保ローン
- 生命保険契約者貸付
- 生活福祉資金貸付制度
年齢条件などによりそれぞれ利用の可否・向き不向きがあります。
表で簡単に各借り入れ方法の特徴をまとめたので、まずは一覧で確認してみましょう。
申込可能年齢 | 借入上限年齢 | 担保 | 保証人 | |
---|---|---|---|---|
消費者金融カードローン | ・大手:最高70歳 ・中小:最高85歳 |
・大手:最高70歳 ・中小:最高85歳 |
不要 | 不要 |
地方金融機関のシニア向けローン | おおよそ70代前半まで | 完済時年齢を75~80歳とするところが多い | 基本的に不要 | 基本的に不要 |
不動産を担保に借りる | ・不動産担保ローン:金融機関による ・リバースモーゲージ:50~60代以上 ・リフォーム融資:原則79歳以下(親子リレー返済なら制限なし) |
・不動産担保ローン:完済時年齢を80~85歳とするところが多い ・リバースモーゲージ、リフォーム融資:定めなし |
持ち家、土地などの不動産 | 商品によっては必要な場合あり |
生命保険契約者貸付 | 制限なし | 制限なし | 不要(将来受け取る解約返戻金が担保代わりになる) | 不要 |
生活福祉資金貸付制度 | 自治体による | 定めなし | 不要 ※高齢者向けに不動産を担保にする貸付もあり |
原則保証人が必要(無利子で貸付) ※保証人なしの場合は年利1.5%で貸付 |
一般的に高齢者とは65歳以上の人のことを指し、75歳以上を後期高齢者と区分しています。
また、現在の日本では年金受給開始年齢は65歳からで、ちょうど定年退職をして給与収入が途絶えやすい年齢です。
一覧を見ても分かるように、年齢条件だけを見ると80歳や85歳の人でもお金を借りるのは不可能ではありません。
ただし、それぞれ他にも申込条件が定められており、利用にあたっては必ず審査が行われるためさらに詳しく見ていく必要があります。
70歳以下の高齢者で給与収入ありなら消費者金融でお金を借りられる
70歳以下で給与収入があるなら、大手消費者金融カードローンがおすすめです。
ただし申込可能年齢は最高でも70歳、年金以外の定期収入が必要など高齢者にとってはやや厳しい条件と言えるでしょう。
それでも借り入れや返済システムが整っているなど、他の借入方法よりもサービス面でメリットが多いです。
無利息期間もあるので、賢く利用すれば金利の高さもカバー可能。
ここでは高齢者がお金を借りるのにおすすめの3社を紹介します。
プロミスは電話からでも申し込みできる
公式サイト | https://cyber.promise.co.jp/ |
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申込条件 | ・年齢18~74歳 ・本人に安定した収入がある ※収入が年金のみの場合利用不可 |
新規借入上限年齢 | 満75歳になった時点で新たな融資は停止 |
金利 | 4.5%~17.8% |
無利息期間 | 初回利用の翌日から30日間 ※ 初めてのご利用の方で、メールアドレス登録とWeb明細利用の登録が必要です。 |
プロミスには申込方法が全部で4通りあり、大手消費者金融では受け付けている会社が少ない郵送申込も選択可能です。
メールでのやり取りが不安、スマホやパソコンの操作が苦手、電話は耳が遠くて苦手といった人でも自分のペースで申し込み手続きが進められます。
なお、三井住友銀行ATMならいつでも手数料無料で利用できるのも、ネット振込ではなくローンカードをメインに利用したい人にとっては嬉しいポイント。
無利息期間は初回利用日からの適用となるため、万が一お金がピンチになった時のために持っておきたい人にもおすすめです。
アイフルは在籍確認の電話なし
公式サイト | https://www.aiful.co.jp/ |
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申込条件 | ・年齢20~69歳 ・本人に安定した収入がある ※収入が年金のみの場合利用不可 |
新規借入上限年齢 | 満70歳になった時点で新たな融資を停止 |
金利 | 3.0%~18.0% |
無利息期間 | はじめての方は契約翌日から30日間 |
勤務先での就労を確認する在籍確認は、パートやアルバイトでも電話で行う金融機関が少なくありません。
アイフルでは在籍確認がないカードローンで電話を原則行っていないため、職場への電話に不安がある人におすすめです。
また、Webからの申し込みであれば、融資までは最短20分も実現可能(※)と急いでお金を借りたい人にとっても便利。
アイフル専用ATMまで行かなくても、スマホやパソコンからの振込融資や全国のコンビニATMなど深夜や早朝でも借り入れできます。
なるべく周囲にバレずに、急いでお金を借りたい人はアイフルを検討してみましょう。
※お申し込みの時間帯によっては、翌日以降になる可能性があります。
レイクは年金収入のみの70歳も申込対象
申込条件 | ・年齢20~70歳 ・本人に安定した収入がある(収入が年金のみも人も可能) |
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新規借入上限年齢 | 満71歳になった時点で新たな融資を停止 |
金利 | 4.5%~18.0% |
無利息期間 | 60日間、または5万円まで180日間(※) |
※初めてなら初回契約翌日から無利息
※無利息期間経過後は通常金利適用。
※30日間無利息、60日間無利息、180日間無利息の併用不可。
※ご契約額が200万超の方は30日無利息のみになります。
※契約額1万円~200万円まで
年金収入だけでも申し込み可能で、申込条件が70歳までと高齢者が利用しやすい大手消費者金融がレイクです。
借入の上限年齢は満71歳までなので、他社ではギリギリで間に合わなかった人でもお金を借りられる可能性があります。
レイクではWeb申込限定の60日間無利息、または借入額のうち5万円まで180日間無利息のどちらかが選べるので賢く利息を抑えるチャンスも。
できれば無利子で完済を目指したい人は、どちらを選んでも他社より無利息期間が長いレイクがおすすめです。
最高85歳まで借りれるローンは中小消費者金融
85歳まで借りれるローンを探している高齢者の人は、中小消費者金融が向いています。
頻繁にCMを見かける大手消費者金融と比較すると、知名度こそ低いものの申し込み可能年齢が高いのが中小消費者金融の特徴です。
便利なサービスや審査のスピード感は大手の方が充実していますが、中小なら後期高齢者も申込対象になるため、85歳で借り入れできるケースもあります。
テレビ通販の関連会社が運営している場合もあり、高齢者向け消費者金融のような印象を受ける業者もあります。
全く知らない業者の場合は、まず貸金業者として都道府県に登録しているかどうか、日本貸金業協会の会員番号を明示しているかを確認しましょう。
業者に対して少しでも不安を感じるなら、申し込む前に日本貸金業協会の「ヤミ金・悪質業者被害の実例検索」を利用して本当に大丈夫かどうか確認するのがおすすめです。
ここでは、中小消費者金融の中でも比較的馴染みのある業者を3社紹介します。
公式サイト | https://www.b-loan.jp/ |
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申込条件 | ・年齢18~80歳 ・本人に安定した収入がある(収入が年金のみも人も可能) ※配偶者貸付制度あり |
新規借入上限年齢 | 81歳の誕生日以降は新規借入停止 |
金利 | 4.5%~18.0% |
無利息期間 | 初回借入の翌日から14日間、完済後の新たな借り入れにも都度適用 ※完済後、前回無利息キャッシング適用の借入日から3ヵ月経過した方のみ再度お借入可能 |
ベルーナノーティスは、新聞の折り込み広告などでもおなじみの通販「ベルーナ」のグループ会社です。
80歳まで申し込みでき、81歳の誕生日を迎えるまで使途自由のお金を借入可能。
融資を受けている人の年齢層は全利用者中70歳以上が41.4%、60歳以上まで範囲を広げれば68.6%と主な利用者層は高齢者世代となっています。
参照:ベルーナノーティス
振込融資への対応や全国の大手提携コンビニATMは利用手数料無料など、大手に負けない利便性も魅力的。
無利息期間は初回利用時だけでなく、完済後の再借入れでも回数問わず適用されるので、継続利用でも計画的に利息が抑えられるカードローンです。
公式サイト | https://www.fundex.co.jp/kojin/product/kantancard/ |
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申込条件 | ・年齢20~80歳 ・本人に安定した収入がある(収入が年金のみも人も可能) |
新規借入上限年齢 | 80歳 |
金利 | 8.8%~17.4% |
無利息期間 | なし |
クレディセゾングループであるセゾンファンデックスでは、80歳まで申し込める「かんたん安心カードローン」の取り扱いがあります。
引き落としや振込の履歴が通帳に記帳されても「セゾン」と印字されるため、万が一見られてもカードローンとはバレにくいのが嬉しいポイントです。
平日13時までに契約手続きまで完了できれば、当日中の融資も可能と急ぎのケースにも対応。
また、全国に14万5,000台あるセゾン提携ATMは手数料無料で利用できるので、旅先など金欠になりやすいシーンでもすぐに利用できます。
申し込み前はもちろん、契約後も利用計画について電話相談ができるので、都度サポートを受けながら利用したい人におすすめです。
公式サイト | https://www.0120-70-7777.jp/ |
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申込条件 | ・年齢20~85歳 ・本人に安定した収入がある(収入が年金のみも人も可能) |
新規借入上限年齢 | 85歳 |
金利 | 100万円未満:18.0%、100万円:15.0% |
無利息期間 | なし |
プランネルは、テレビショッピングで一度は名前を聞いたことがある「日本文化センター」のグループ会社です。
利用可能年齢は85歳までと中小消費者金融の中でも特に長く、80歳を超えても契約できる数少ないローンとなります。
ローンカードは発行されず、契約時に決まった金額が指定口座に振り込まれるシステムなのでカード紛失のリスクがありません。
返済は銀行引き落としか郵便振込と昔ながらの方法も選べるので、難しい操作や手続きは不要で高齢者でも利用しやすいです。
カードローンのように気軽に追加借入ができるシステムではないので、借り過ぎを防ぎたい人にも向いています。
高齢者でも自由な用途でお金を借りられる消費者金融カードローン
旅行に行きたい、ちょっと予算オーバーだけどどうしても欲しいものがあるなど、様々な用途で都度利用できるのが消費者金融カードローンです。
消費者金融は貸金業法に基づいた貸付を行っているので、借りられる限度額は総量規制により年収の3分の1までとなります。
年金も収入として計算に組み込めますが、注意が必要なのがシルバー人材センターでの収入です。
シルバー人材センターでのご収入は、総量規制の計算においては収入として採用することができません。審査の参考にさせていただきます。
引用元:ベルーナノーティス
講演料、原稿料、シルバー人材センターから支給される配分金のうち、所
得税法上、 「雑所得」とされるものは、事業から生じたと認められるもの以外の
所得であることから、いずれも総量規制の基礎となる年収に算入可能な「事業
所得」には該当しません。
例えば国民年金のみ加入だと年金収入は1年で約80万円となり、シルバー人材センターから仕事をもらっていても借入限度額の上限は約26万円です。
年金に加えてパートやアルバイト、退職した会社での再雇用などある程度の収入がなければまとまった金額の借り入れはできません。
一方で担保・保証人不要と、借り入れに際して子どもに迷惑をかけない点では手軽に借りられる方法と言えます。
完済前に亡くなってしまった場合の負債は相続対象となるので、家族に内緒で借りるなら早期完済を目指しましょう。
高齢者が消費者金融でお金を借りるメリットとデメリット
大手、中小と合計6つの消費者金融を見てきましたが、どの借り入れでも共通するメリットやデメリットがあります。
ただ便利なばかりではなく、リスクもゼロではないため良い面と悪い面の両方をしっかり把握して利用を検討しましょう。
デメリット
- カードローンは借り過ぎにつながりやすい
- 金利が高めで利息が膨らみやすい
- ローンカードの紛失・盗難リスクがある
消費者金融でお金を借りる一番のメリットは、便利さです。
大手消費者金融では、申し込みから最短20分での融資に対応しているサービスもあり、必要なときにすぐ借りられるのがメリット。
50万円以下の借り入れであれば、収入証明書が不要となるケースもあるため、定年退職して収入に不安がある高齢者でも、審査通過できる可能性があります。
ただし利便性の高さはデメリットにもなり、計画的に利用しないと返済総額はどんどん膨らみ家計を圧迫させてしまいます。
計画的な利用はもちろん、お金やカードの管理がしっかりできることが消費者金融を利用する必須条件です。
地方の金融機関には高齢者対象のローンがある
消費者金融の利用には抵抗がある場合、銀行のシニア向けローン(シルバーローン)も検討の対象になります。
ただしメガバンクではシニア世代向けのフリーローンは見当たらず、一般的なカードローンも消費者金融と比較して審査が厳しいです。
そこで検討したいのが、地方銀行や信用金庫のシニア向けローン。
各金融機関の営業エリアに住んでいる人に限定される場合が多く、消費者金融より金利が低めなのが特徴です。
地方銀行の高齢者向けローンは完済時年齢設定あり
地方銀行には様々な名称の高齢者向けローンの取り扱いがあり、保証人は保証会社を利用し、担保も不要とするのが一般的です。
対象年齢など細かな条件は商品によって異なるので、自分に合っているかどうかの見極めが必要となります。
全国すべての地方銀行で取り扱っているわけではないので、一度地域の銀行について調べてみると良いでしょう。
例えば、以下のような銀行でシニア向けローンの取り扱いがあります。
利用可能年齢 | 金利 | 概要 | |
---|---|---|---|
千葉銀行 「ちばぎんシニア応援ローン」 |
・融資時の年齢が満60歳以上 ・最終返済時の年齢が満80歳未満 |
年利7.8%(変動金利) | ・居住エリア:千葉県、東京都、茨城県、埼玉県、神奈川県(一部対象外あり) ・様々な資金に利用可能(使い道の確認資料の提出が必要) |
中国銀行 「シニアの力」 |
・申込時年齢が満65歳以上70歳未満 ・完済時年齢が満75歳未満 |
年利3.9%(固定) | ・居住エリア:中国銀行営業エリア(岡山県、広島県、香川県、兵庫県) ・中国銀行で年金を受け取っていることが条件 ・使途自由 |
百五銀行 「百五多目的ローン シルバープラン」 |
・申込時年齢が満20歳以上75歳以下 ・完済時が満80歳以下 |
4.7~5.9%(変動金利) | ・居住エリア:三重県・愛知県全域、岐阜県・和歌山県の一部 ・来店不要で契約可能 ・使途自由 |
愛媛銀行 「ひめぎんシルバーライフローン」 |
・申込時の年齢が満60歳以上 ・完済時の年齢が80歳以下 |
年利5.8%(固定) | ・愛媛銀行で年金を受給していることが条件 ・返済は年金支給日に合わせて2カ月に1回 ・使途自由 |
消費者金融との違いは、以下のとおり。
- 申し込み年齢だけでなく完済時年齢の設定がある
- 借り入れは最初の一度きりとなるフリーローンとなる
審査は厳しくなることが予想されますが、消費者金融と比較すると金利は低めなので申込対象となっているなら検討してみてください。
信用金庫のシニアライフローンは年金受取口座指定が条件
より地域が限定される信用金庫でも、シルバーローンとして「シニアライフローン」の取り扱いがあります。
共通する申込・利用条件は以下の3点です。
- 申込時の年齢が満60歳以上、最終返済時の年齢が満80歳以下
- 営業エリアに居住している
- 年金受取口座として利用している
信用金庫は地域住民の相互扶助を目的としているので、営利が一番の目標ではなく金利も低めの設定が目立ちます。
ただし、金利設定は信用金庫によって大きく異なるので、地方銀行との重要な比較ポイントです。
シニアライフローンを取り扱う信用金庫の一例をピックアップしてみました。
信用金庫 | 金利 |
---|---|
東京信用金庫 | 年2.5%(固定) |
西武信用金庫 | 年5.5%(固定) |
京都中央信用金庫 | 年3.4%(変動) |
愛知信用金庫 | 年4.0% |
広島信用金庫 | 年4.5%(固定) |
年金支給に合わせた2カ月に1回の返済が基本なので、収入が年金のみの人でも計画的に利用できます。
シニアライフローンは全国の信用金庫で取り扱っているので、貸付条件など気になることがあれば近隣の店舗で相談してみましょう。
地方の金融機関で高齢者がお金を借りるメリット・デメリット
消費者金融と比較すると、同じ保証人・担保不要の貸付でも金利の低さが何よりも魅力的ですが、一方のデメリットはあるのでしょうか。
地方銀行や信用金庫で借りる際のメリット・デメリットをまとめました。
メリット
- 金利が低い
- 初回1回のみの借り入れなので借り過ぎるリスクは低い
- 店舗窓口で相談ができる
デメリット
- 用途の説明や利用した証明が必要な場合がある
- 消費者金融と比較すると審査は厳しめの傾向
- 繰り返しの借り入れはできない
低金利での貸付となるので、返済能力はもちろん利用目的についてもしっかり審査されます。
また、借り入れが1回のみというのはメリットにもデメリットにもなるため、どれだけ資金管理ができるか、目的に合っているかどうかが重要です。
持ち家有りの高齢者なら不動産を担保に借りられる可能性がある
ここまでは担保・保証人なしの借り入れについて解説してきましたが、2つの方法とも借りた金額+利息を全額支払うことが大前提です。
生活資金に全く余裕がない場合、高齢者であるという特性も加わり審査に通ることも難しいでしょう。
それでもまとまったお金が必要なら、以下のような不動産を担保にしてお金を借りる方法が現実的です。
- 不動産担保ローン
- リバースモーゲージ
- リフォーム融資
ただ担保に入れてお金を借りるだけでなく、最終的に不動産を売却する、返済を子どもなど相続人にも負担してもらうなど内容は全く異なります。
いずれにしても家族に内緒で話を進めるのはほぼ不可能な借り方のため、家族での話し合いは必須。
また、不動産として価値があるかどうかも重要で、例えば買い手が付きにくそうな過疎地の古い家では審査に通りにくいと考えられます。
不動産担保ローンは全額返済が前提
不動産担保ローンとは、その名前の通り不動産を担保にローンを組むことです。
資産価値が高い不動産を持っているほど借りられる金額は高額になりますが、カードローンと同様に毎月決まった返済を続ける必要があります。
申し込み年齢に制限を設けていることが少ないので、価値のある不動産さえ持っていれば高齢者でまとまったお金を借りられる可能性がある数少ない方法です。
金融機関によって不動産の評価方法や金利など差があり、利用にあたって手数料も発生するのでいくつか比較して候補を絞っていくことが重要です。
以下でいくつかピックアップしているので、不動産担保ローンがどのようなものなのか参考にしてみてください。
利用可能年齢 | 金利 | 取扱手数料 | |
---|---|---|---|
スルガ銀行 「ドリームライフプラン1」 |
契約時年齢が満50歳以上、最終返済時の年齢が満82歳未満 | 短期プライムレート連動の変動金利 | 110,000円 |
住信SBIネット銀行 「不動産担保ローン」 |
申込時年齢が満20歳以上、最終返済時の年齢が79歳未満 | 2.95%~8.9%(変動) | ・保証委託事務手数料 として融資金額の1.32% ・融資事務取扱手数料 として融資金額の0.88% |
東京スター銀行 「スター不動産担保ローン」 |
申込時年齢が満20歳以上69歳以下、完済時の年齢が84歳以下 | ・0.85%~7.85%(変動) ・1.30%~8.55%(固定) |
融資金額の2.2% |
三井住友T&F 「不動産活用ローン」 |
完済時年齢80歳以下 | 3.9%~7.4%(変動) | 融資金額の2.2% |
全国規模で利用者がいる不動産担保ローンを取り上げましたが、土地や建物に価値があるかどうかは地元の金融機関のほうが詳しい場合もあります。
また、三井住友T&Fなど銀行ではない金融機関でも取り扱いがあり、審査難易度にも差があるので視野を広げて借入先を探しましょう。
リバースモーゲージは高齢者向けで担保売却が前提
リバースモーゲージとは、査定額から算出された金額内で何度でも借入可能な融資方法です。
近年利用者が増えている方法で、最大の特徴は毎月の返済が不要または利息のみの返済でよく、自宅を担保にしながら住み続けられる点。
契約者が亡くなったら、担保になっていた不動産を売却して返済に充てるのが基本的な仕組みです。
もし売却時の査定額が当初の評価額を下回っても差額は請求されないなど、従来のデメリットを解消した商品にも注目。
商品の特性から高齢者向け融資となるため、カードローンのように年齢制限を気にする必要はさほどない点もメリットと言えるでしょう。
申込対象年齢の設定例は以下の通りです。
東京スター銀行 | 利払いあり型:契約時年齢が55歳以上84歳以下 利払いなし型:契約時年齢が70歳以上84歳以下 |
---|---|
楽天銀行 | 借入時の年齢が満50歳以上 |
きらぼし銀行 | 契約時年齢が満55歳以上満80歳未満 |
群馬銀行 | 契約時年齢満60歳以上 |
群馬銀行 | 申込時年齢が満55歳以上80歳以下 |
一方で資産の売却が前提となるため、不動産の査定をしたり相続人全員の同意を得たりなど、契約までには手間と時間がかかるのがネックです。
リバースモーゲージは地方銀行での取り扱いが多いので、まずは住宅ローンでお世話になった銀行など馴染みのあるところから探してみましょう。
売却時の差額の扱いや毎月の利息分払いあり・なし、金利なども比較はもちろん、不動産担保ローンと同様に高く査定してくれるかどうかも重要です。
リバースモーゲージと似ている「リースバック」という金融商品もあります。
リースバックは先に自宅を売却してしまい、賃貸住宅として住み続ける方法です。
まとまった売却資金を手にしてから賃料を支払う形で住み続けるので、お金を借りる方法とはまた違った選択肢となります。
家や土地の名義は自分ではなくなるため固定資産税の支払いが発生しない、相続トラブルの事前回避といった点はリバースモーゲージにはないメリットです。
違いをまとめると、以下のようになります。
リバースモーゲージ | リースバック | |
---|---|---|
契約後の不動産の名義 | 自分(死亡後に売却) | 買い取り業者(契約時に売却) |
毎月の支払い | 無し、または利息のみで負担が軽い | 家賃支払いが発生、高額になるケースも |
固定資産税など毎年かかる不動産の諸経費 | あり | なし |
相続人の同意 | 契約にあたって全員の同意が必要 | 不要、現在の不動産所有者だけで契約可能 |
一見手軽なリースバックですが業者選びでは細心の注意が必要で、以下のようなトラブル事例もあります。
- 高額な家賃が設定されて結局負担が大きい
- 売却価格が相場より低く抑えられた
- 契約更新に応じてもらえず突然退去を余儀なくされた
売却後は所有権を手放しているので強気に出られず、悪意のある相手だと思いもよらないトラブルに発展してしまいます。
今後継続して住み続ける想定年数なども考えて、リバースモーゲージもリースバックも慎重に業者を選択しましょう。
元金の返済義務は相続人にあるリフォーム融資
リフォーム融資とは、住宅金融支援機構が取り扱う「高齢者向け返済特例」の通称で、以下の工事を含む住宅リフォームに適用されます。
- バリアフリー工事
- ヒートショック対策工事
- 耐震改修工事
リフォーム代金の融資に対して高齢者住宅財団が保証人に、自宅を担保にして毎月の返済を利息のみにできるというもの。
申し込み時年齢は原則79歳以下と制限はありますが、親子リレー返済を利用する場合は制限がありません。
元金は申込人が死亡後に相続人に一括で請求されるので、例えば死亡保険金を元金返済に充ててもらうといった支払い方も可能です。
なお、申込人は世帯主1人ではなく夫婦2人にもでき、夫婦2人ともが亡くなるまで一括返済を延ばせます。
ただし、元金は減らないので期間を伸ばすほど総支払い額は高額になっていく点では注意が必要です。
もし相続人が元本を支払えないなら担保である自宅は売却となり、どちらにしても相続人に負担が発生するため事前にしっかり話し合いましょう。
高齢者が不動産を担保にお金を借りるメリット・デメリット
不動産担保ローン、リバースモーゲージ、リフォーム融資と、性質はそれぞれ大きく異なります。
ただし、今住んでいる家や土地を担保にするという点は共通しているので、メリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
- 高齢者でも低い金利でまとまった資金が借りられる
- 上限年齢の設定がない場合がある
デメリット
- 不動産の査定があるため融資まで時間がかかる
- 家の登記簿など契約にあたっての必要書類が多い
- 相続人の同意が必要
- 持ち家が価値のある不動産である必要がある
まとまった資金が借りられる反面、申し込みや契約にかかる手間がかかり決して手軽に借りる方法ではありません。
また、持ち家や土地に価値があることが大前提なので、人によっては利用が難しい場合もあります。
相続にも関わるので、借り入れについて家族に内緒にせず、しっかり話し合える関係性が重要と言えるでしょう。
生命保険契約者貸付なら高齢者でも担保・保証人なし
生命保険の契約者であれば、解約返戻金の範囲内でお金を借りられる制度が生命保険契約者貸付です。
借りられる金額は一般的に契約年数と比例するので、長年生命保険の掛け金を払い続けてきた高齢者ならまとまった金額を借りられる可能性があります。
契約者貸付の特徴は、新たに担保や保証人の用意が必要なく審査も無しで借りられる点です。
申し込んで簡単な手続きをするだけなので、なるべく早くお金が必要な場合にも対応可能です。
ただし、借りたお金を返せないとせっかく長年支払ってきた保険の受取金が大幅減額になってしまいます。
また、借り入れ可能額をすべて使い切って返済しないでいると、保険契約自体が解約となってしまうので要注意です。
高齢者世帯が対象となる生活福祉資金貸付制度でお金を借りる
生活が厳しく民間企業のローン契約が難しいと判断されると、生活福祉資金貸付制度を利用して公的融資を受けられます。
個人ではなく世帯単位で判断され、65歳以上の高齢者がいる世帯は「高齢者世帯」として融資の対象となります。
生活福祉資金の限度額は項目ごとに設定されており、保証人有りなら無利子、無しなら年1.5%と低い金利での借り入れが可能です。
例えば以下の目的で利用するなら、福祉費として融資を受けられます。
上限額の目安 | |
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住宅の増改築、補修 | 250万円 |
福祉用具等の購入 | 170万円 |
介護サービス | 170~230万円 |
冠婚葬祭 | 50万円 |
また、高齢者世帯向けに不動産を担保にお金を借りる制度もあり、土地評価額の70%程度までが限度額となります。
申し込み窓口は各自治体の社会福祉協議会となるので、ローン契約は厳しい、または審査に落ち続けている人は一度相談してみましょう。
年金担保融資は新規申込終了!悪徳業者に注意
年金を担保にお金を借りられる「年金担保融資」は、令和4年3月末で新規受付を終了しています。
年金や年金受給権を担保にして新たにお金を借りる制度は現在のところ存在せず、あったとしても確実に悪徳業者となるため決して利用してはいけません。
「年金を担保にお金を借りられます」などと宣伝して借入れを勧誘することは、例外なく全て違法です。
引用元:厚生労働省
年金受給権を担保とした金銭の借入申込を受けることは法律で禁止されています。
引用元:厚生労働省
もし生活に困窮していて公的な助けを必要とするなら、自立相談支援機関での相談や生活福祉資金貸付制度の利用を検討しましょう。
返済の目処が立たなければ生活保護も検討
融資制度はお金を借りて返さなければならないので、そもそも返済の見込みがなければ利用できません。
収入はあるけど少なくて健全な生活が送れない場合、生活保護を受けられる可能性があります。
生活保護は最低限度の生活を保障する制度なので、収入が0の人しか申し込めないものではありません。
申し込み窓口は住んでいる自治体の福祉事務所となるので、まずは現在の状況を相談してみてください。
80歳以上の高齢者でもお金を借りる手段はある
高齢者でもお金を借りる手段は複数あり、70代までなら消費者金融以外にも銀行のシニア向けローンが利用できます。
また、まとまった資金が必要なら不動産担保ローンやリバースモーゲージなど、持ち家を担保にお金を借りる手段も要検討です。
いずれのお金を借りる手段も、保証人付きの公的融資以外は利息が発生します。
高齢者は特に融資話や給付金の話で悪徳業者から狙われやすいので、真っ当な手段がどうかは冷静に判断しましょう。
高齢者の場合は、職を得て急に収入を増やすことは難しいので、余裕のある返済計画が立てられる方法を選ぶのがおすすめです。
メリット