保険

生命保険料の相場はいくら?世帯平均や年齢別に検証して保険の選び方も解説

保険料は基準になる金額や相場が分かりにくく、選ぶ際に混乱しがち。

「生命保険をかけているけれど相場より高いのではないか」「生命保険を見直したいけれど相場が分からない」と、生命保険料に関する不安を抱えている人も多いです。

生命保険料の相場は、保険契約者の年齢やライフステージにも左右されます。

自分や自身の生体に合う保険を選べるよう、生命保険料の相場を複数のデータを元に検証。

合わせて、生命保険の選び方も解説します。

Contents

生命保険の相場は全世帯平均月額31,000円

個人年金保険も含めた生命保険の全世帯平均を元にしたとき、生命保険の相場は月額31,000円程度です。

2021年の生命保険の全世帯平均は、37万1,000円(年額)でした。

全世帯平均の推移は、以下の通りです。

生命保険料の全世帯平均(年額) 月額換算の生命保険料
2021年 371,000円 31,000円程度
2018年 382,000円 31,800円程度
2015年 385,000円 32,000円程度
2012年 416,000円 34,700円程度
2009年 454,000円 37,800円程度

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

全世帯平均の生命保険料は、減少傾向にあります。

生命保険料が減少している理由として考えられる内容は、以下の通りです。

  • 世帯人数が減少している
  • 死亡保障を抑えて医療保険を充実させる人が増えた

日本の世帯人数は減少が続いているため、世帯単位で調査したときに生命保険料が減少します。

日本の平均世帯人員( 1世帯あたりの世帯人員)は,国勢調査の始まった1920年代から1950年代までは 5人程度で推移していたが,1960年には4.14人,1970年には3.41人と大きく減少し,その後も減少が続いて,2015年には2.33人となっている
出典:平均世帯人員の減少要因の検討│国立社会保障・人口問題研究会

契約する保険の種類も変化していて、死亡保険よりも医療保険を充実させる人が増えました。

死亡保障を抑える傾向から、世帯全体の生命保険料が減っています。

一方、2021 年度末の個人保険の保有契約高(死亡保障などの主要保障の金額)は、死亡保障を抑えて医療保障を充実させる近年の傾向などを反映して、806 兆8,784 億円(前年度比 98.9%)と減少した。
出典:2022年版 生命保険の動向│生命保険協会

全世帯平均の保険料を1つの目安として、必要な保障が受けられるよう生命保険を選びましょう。

生命保険料の分布によると年額12万円未満の世帯が多い

生命保険料の全世帯平均と合わせて、生命保険料の分布も確認しましょう。

2021年の生命保険料の分布は、以下の通りです。

生命保険料(年額) 割合
12万円未満 19.3%
12万円以上24万円未満 17.6%
24万円以上36万円未満 16.0%
36万円以上48万円未満 9.3%
48万円以上60万円未満 6.4%
60万円以上72万円未満 4.7%
72万円以上84万円未満 2.5%
84万円以上 5.4%
不明 18.8%

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

年額12万円未満、月額1万円未満の生命保険を契約している人が最も多く、全体の20%程度です。

次いで12万円以上24万円未満の人が多い結果になりました。

保険料が年額36万円未満の世帯を合計すると52%程度で、高額の保険料を払っている人は少ない傾向です。

一方で、84万円以上の保険料を支払っている世帯もあります。

世帯によって保険料の幅が大きいのには、世帯人数も関係していると推測できます。

平均値のみを意識するのではなく、世帯に合う保障が受けられるよう、生命保険を選びましょう。

世帯条件別に生命保険料の相場をチェック

必要な保障は世帯の状況によっても異なります。

以下の条件別に、生命保険料の相場を確認しましょう。

  • 世帯主の年齢
  • 世帯年収
  • 保有資産

世帯主の年齢は結婚や子育てといったライフイベントに関連があり、年齢によって保険料の相場は違います。

生命保険にお金をかけすぎると、生活が成り立たないので要注意。

また世帯年収によっても、目安とすべき保険料に違いが出ます。

保有資産があれば、万が一のときに資産の活用も可能なため、そこまで大きな備えをしなくて良いケースも。

自分の世帯の状況と近い世帯の生命保険料が分かれば、保険選びの参考にできます。

新しく契約する生命保険や見直しを予定している生命保険が世帯の状況に合っているか、相場を元に確認しましょう。

世帯主の年齢別では50代の生命保険料が最も高い

世帯主の年齢別の生命保険料は、以下の通りです。

世帯主の年齢 生命保険料の平均(年額)
29歳以下 213,000円
30〜34歳 246,000円
35〜39歳 391,000円
40〜44歳 331,000円
45〜49歳 347,000円
50〜54歳 422,000円
55〜59歳 422,000円
60〜64歳 370,000円
65〜69歳 423,000円
70〜74歳 319,000円
75〜79歳 310,000円
80〜84歳 302,000円
85〜89歳 301,000円
90歳以上 181,000円
全体 359,000円

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

生命保険料が高いのは、世帯主の年齢が50代の世帯です。

50代の生命保険料が高い理由として考えられるのは、以下の通り。

  • 老後の生活に不安を覚える
  • 医療や介護に不安を覚える

50代になると育児や仕事が落ち着く年齢で、自身の老後の生活に備えたいと考える人が増えてきます。また健康面でも不安になりがちな年齢で医療保険を充実させたいと考え、生命保険料が高くなっていると推測できます。

医療保険を契約するときは、世帯主の年齢も考慮しましょう。

世帯主が50代の世帯で生命保険に加入した理由

世帯主が50代の世帯で生命保険に加入した理由の上位3位は、以下の通りです。

50~54歳 55〜59歳
医療費や入院費(59.6%) 医療費や入院費(60.3%)
家族の生活保障(53.9%) 家族の生活保障(50.0%)
災害や交通事故への備え(11.3%) 老後の生活資金(16.7%)

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

医療費や入院費、家族への備えを目的として、生命保険に加入している人の割合が高いです。

生命保険に加入する際は、目的をはっきりさせた上で後悔のない商品選びをしましょう。

世帯年収が高いほど生命保険料の金額も高い傾向にある

世帯年収別の生命保険料は、以下の通りです。

世帯年収 生命保険料の平均(年額)
200万円未満 205,000円
200万円以上300万円未満 290,000円
300万円以上400万円未満 315,000円
400万円以上500万円未満 306,000円
500万円以上600万円未満 319,000円
600万円以上700万円未満 329,000円
700万円以上1,000万円未満 434,000円
1,000万円以上 579,000円

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

世帯年収が200万円未満では、生命保険料の年額は205,000円と金額が低めです。

世帯年収200万円以上700万円未満では、あまり大きな差がありませんが、世帯年収が700万円を超えると、支払う保険料も高額になっています。

全体的に見ると、世帯年収が高いほど生命保険料の支払額も高い傾向です。

世帯年収が低い世帯は、世帯年収の高い世帯ほど生命保険にお金をかける余裕がないと推測できます。

生命保険料が年収に占める割合を世帯年収別の平均額から計算

生命保険料が年収に占める割合は、以下の通りです。

条件 生命保険料が世帯年収に占める割合
世帯年収200万円で生命保険料が290,000円 14.5%程度
世帯年収400万円で生命保険料が306,000円 7.6%程度
世帯年収600万円で生命保険料が329,000円 5.5%程度

年収が低い家庭では、生命保険料の負担が重い様子もうかがえます。

生活が成り立つ範囲で生命保険をかけられるよう、世帯年収に対して高すぎない金額を設定しましょう。

世帯の保有資産が多くても生命保険料が低価格なわけではない

世帯の保有資産別に見た生命保険料の平均は、以下の通りです。

保有資産額 生命保険料の平均(年額)
100万円未満 256,500円
100万円以上300万円未満 293,400円
300万円以上500万円未満 322,300円
500万円以上1,000万円未満 360,100円
1,000万円以上2,000万円未満 411,200円
2,000万円以上3,000万円未満 444,300円
3,000万円以上 659,600円
不明 329,500円

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

保有資産額が高くなるにつれ、生命保険料の平均額も高くなる傾向です。

貯蓄がある人でも、貯蓄とは別に万が一に備えて生命保険を利用している様子がうかがえます。

家計に余裕がある人ほど、備えを充実させているとも言えるでしょう。

貯蓄があるから大丈夫と考えるのではなく、貯蓄とは別の備えとして生命保険を活用することも検討してみましょう。

住んでいる地域によっても生命保険料の平均が変動する

住んでいる地域も、生命保険料の平均額に影響を与えます。

地域別の生命保険料は、以下の通りです。

地域 生命保険料の平均(年額)
首都圏 407,100円
京阪神圏 344,200円
中京圏 338,000円
上記以外 363,500円

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

首都圏で生命保険料の平均額が高いのは、物価の影響と予想できます。

全国で最も物価が高いのは東京都、次いで神奈川県です。

都道府県別の地域差指数について、2021年(令和3年)の結果は、全国で最も物価水準が高いのは東京都(104.5)であり、最も低いのは宮崎県(96.2)であった。
出典:東京都の統計│東京都総務局統計部

物価が高ければ、生活を成り立たせるためにより多くの備えをしなければいけません。

物価が高い地域に住んでいる人は、物価も考慮して生命保険料を決めましょう。

ライフステージや雇用形態を元に生命保険料の平均を検証

さらに詳細な生命保険料の相場を確認したい人は、以下のデータも参照しましょう。

  • ライフステージ別
  • 世帯類型
  • 雇用形態別
  • 生命保険料の種類別

生命保険には種類があり、加入する保険の種類によっても用意すべき金額は異なります。

詳細な条件も考慮した上で生命保険料を決めたい人は、データをチェックしてください。

ライフステージ別では小さい子どものいる家庭の保険料が高い傾向

ライフステージ別に生命保険料を確認すると、小さい子どものいる家庭の保険料が高い傾向にあります。

ライフステージ別の生命保険料の平均は、以下の通りです。

ライフステージ 生命保険料の平均(年額)
40歳未満の夫婦のみ 210,000円
40歳~59歳の夫婦のみ 374,300円
末子が乳児 332,100円
末子が幼稚園児または保育園児 402,200円
末子が小学生または中学生 368,700円
末子が高校生、短大生、大学生 362,600円
末子が卒業 420,700円
60歳以上で働いている夫婦 378,800円
60歳以上で無職の夫婦 319,100円

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

ライフステージとは人生の変化を節目で区切った段階を言い、以下のイベントに左右されます。

  • 就職
  • 結婚
  • 出産
  • 子育て
  • 子どもの独立

ライフステージの変化に伴い、リスクの内容も変動します。

例えば子どもがいる家庭なら、親に万が一があったときでも生活に困らないだけの保障を用意しなければいけません。

子どもが独立して夫婦2人になったら、子どもがいるときほどの保障がなくても対応できます。

時期に合わせて必要な保障が受けられるよう、保険の内容を見直しましょう。

世帯類型では家族の人数が少ないと生命保険料も少ない

世帯類型別に生命保険料を比較した結果は、以下の通りです。

世帯類型 生命保険料の平均(年額)
40歳未満の夫婦のみ 210,000円
40歳以上の夫婦のみ 359,500円
夫婦と末子が乳幼児 390,500円
夫婦と末子が小中学生 382,200円
夫婦と末子が高校生以上 380,000円
夫婦と扶養していない子ども 447,700円
親、世帯主、子の3世代 442,600円
世帯主、子、孫の3世代 424,000円
母子世帯や父子世帯 244,600円

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

夫婦のみの世帯や母子世帯、父子世帯は、家族の人数が少ない分生命保険料も少なめです。

夫婦のみでも40歳を超えると、健康や老後に対する不安から生命保険料が高くなっています。

扶養している子どもの年齢は、保険料にあまり影響しません。

働き始めて扶養から外れた子どもは、自分で働いている分備えを充実させている傾向です。

3世代の家庭で生命保険料の支払額が多いのは、家族の人数も関係していると推測できます。

家族の人数に合わせて、必要な保障を備えましょう。

単身世帯の生命保険料の相場は年額18万円程度

単身世帯の生命保険料の相場は、以下の通りです。

性別 生命保険料(年額) 月額換算の生命保険料
男性 206,000円 21,700円程度
女性 160,000円 13,300円程度
全体 179,000円 14,900円程度

出典:2022(令和4)年度生活保障に関する調査│生命保険文化センター

全体の平均は17万9,000円で、月額に直すと15,000円程度です。

単身世帯であっても、病気や万が一への備えをしている様子がうかがえます。

生命保険料の分布は、以下の通りです。

生命保険料(年額) 割合
12万円未満 37.2%
12万円以上24万円未満 30.4%
24万円以上36万円未満 14.3%
36万円以上48万円未満 4.7%
48万円以上60万円未満 2.1%
60万円以上 3.5%
不明 7.7%

出典:2022(令和4)年度生活保障に関する調査│生命保険文化センター

7割近くの単身世帯で、生命保険料が24万円未満です。

単身世帯の人は、年額12~24万円ほどの保険料を目安に契約しましょう。

独身者は20代の保険料が少なく40代から60代にかけて多くなる

単身世帯の生命保険料を、年帯別に確認しましょう。

年齢 男性 女性
20代 119,000円 96,000円
30代 199,000円 140,000円
40代 224,000円 186,000円
50代 255,000円 190,000円
60代 212,000円 159,000円
70代 164,000円 130,000円

出典:2022(令和4)年度生活保障に関する調査│生命保険文化センター

性別を問わず、生命保険料が最も少ないのは20代です。

40代から60代にかけては保障を充実させる傾向があり、70代になると保険料が下がります。

2人以上の世帯と同様に、50代の保険料が最も高いです。

年齢によって必要な備えは違うため、自分に合う金額の保障が受けられるよう、保険を選びましょう。

年代 必要な保障
20代 ・医療保険
・就業不能保険
30代 ・医療保険
・就業不能保険
・死亡保険
40代 ・医療保険
・就業不能保険
・死亡保険
・がん保険
50代 ・医療保険
・就業不能保険
・死亡保険(保険料が負担なら金額を下げる)
・がん保険
・個人年金保険
60代以降 ・医療保険
・死亡保険(保険料が負担なら金額を下げる)
・がん保険

夫婦の雇用形態別データによると自営業者の保険料が高い

夫婦の雇用形態別の生命保険料は、以下の通りです。

世帯主の雇用形態 配偶者の雇用形態 生命保険料の平均(年額)
自営業 非正規雇用 377,000円
正社員 非正規雇用 375,100円
自営業 自営業 501,100円
正社員 正社員 437,300円
自営業 正社員 458,000円
自営業 無職 448,700円
正社員 無職 335,500円
無職 無職 331,600円

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

世帯主が自営業の世帯は、生命保険料が高い傾向です。

配偶者も自営業の夫婦は生命保険料が最も高額で、50万1,100円でした。

次いで生命保険料が高いのは、配偶者が無職の自営業者です。

世帯主が正社員の世帯は、生命保険料の平均額が低めでした。

自営業は収入が不安定になりやすく、倒産のリスクもあります。

リスクに備えるために、より大きな保障をつけていると推測可能です。

収入の安定しない勤務形態の人は、以下の方法で収入が途絶えたときに備えましょう。

  • 受け取れる金額の多い生命保険に入る
  • 就業不能保険をかける

生命保険の平均受取額は入院給付金で1日1万円前後

生命保険に加入している人が受け取れる給付金の金額は、以下の通りです。

保険の種類 保険金額(日額)
世帯主の疾病入院給付金 9,800円
配偶者の疾病入院給付金 8,100円
世帯主のがん保険入院給付金 11,500円
配偶者のがん保険入院給付金 9,700円

出典:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉│生命保険文化センター

疾病入院給付金とがん保険では、受取額に日額1,000円程度の差があります。

世帯主と配偶者間にも、1,000円程度の差が見られました。

1日あたりの入院費用の平均は、21,000円程度です。

費用の分布で最も多いのが10,000円以上15,000円未満で、全体の23.3%を占めます。

当センターの調査によると、直近の入院時の1日あたりの自己負担費用の平均は20,700円となっています。費用の分布をみると、「10,000円~15,000円未満」が23.3%と最も多く、次いで「20,000~30,000円未満」が16.0%となっています。
出典:1日あたりの入院費用(自己負担額)はどれくらい?│生命保険文化センター

生命保険文化センターが行った調査では、入院費に以下の費用を含んでいます。

  • 治療費
  • 食事代
  • 差額ベッド代
  • 交通費
  • 見舞いに来る家族の交通費
  • 衣類
  • 日用品費

差額ベッド代がかからない部屋に入院すれば、保険で1日の入院費をまかなえるケースもあります。

入院日額が1万円程度の保険に加入すれば、医療費を無理なく支払える可能性は高いです。

死亡保険の受取額は約2,000万円で30代から増え始める

死亡保険の受取額は、世帯全体で2,027万円程度です。

保険の種類 保険金額
死亡保険(世帯全体) 2,027万円
世帯主の死亡保険 1,386万円
配偶者の死亡保険 682万円

出典:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉│生命保険文化センター

配偶者と比較して、世帯主の保険が充実している傾向にあります。

死亡保険の受取額を年代別に示した結果は、以下の通りです。

年代 保険金額
29歳以下 1,754万円
30〜34歳 2,516万円
35〜39歳 2,525万円
40〜44歳 2,714万円
45〜49歳 2,980万円
50〜54歳 2,296万円
55〜59歳 2,312万円
60〜64歳 2,033万円
65〜69歳 1,478万円
70〜74歳 1,460万円
75〜79歳 1,058万円
80〜84歳 876万円
85〜89歳 1,104万円
90歳以上 684万円
全体 2,027万円

出典:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉│生命保険文化センター

死亡保険の受取額は、30代から増え始めます。

子どもが独立する目安となる60歳前後までは、多めに死亡保険をかけている人が多い傾向です。

子どもの独立後は配偶者の生活を支えられるだけの金額があれば、構いません。

死亡保険は、申込時の年齢も金額を決める目安としましょう。

生命保険に加入している世帯は9割程度

生命保険の世帯加入率は、以下の通りです。

生命保険に加入している世帯
2021年 89.8%
2018年 88.7%
2015年 89.2%
2012年 90.5%
2009年 90.3%

出典:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉│生命保険文化センター

生命保険の世帯加入率とは、少なくとも1人が生命保険に加入している世帯数の割合です。

年代別の割合も確認しましょう。

年代 生命保険に加入している世帯
29歳以下 70.2%
30〜34歳 90.7%
35〜39歳 89.4%
40〜44歳 93.2%
45〜49歳 94.0%
50〜54歳 93.0%
55〜59歳 94.8%
60〜64歳 92.4%
65〜69歳 93.8%
70〜74歳 88.2%
75〜79歳 85.0%
80〜84歳 80.2%
85〜89歳 67.5%
90歳以上 52.2%
全体 89.8%

出典:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉│生命保険文化センター

29歳以下と70歳以上で90%を切っていますが、他の年代はほぼ90%以上の加入率です。

年齢が高くなると契約期間が終了する生命保険もあるため、85歳以上の加入割合は減少しています。

生命保険に加入していない世帯は、必要に応じて加入を検討しましょう。

生命保険の種類や金額を決めるポイント5つ

生命保険の種類や金額を決めるポイントは、以下の5つです。

  • 生命保険に加入する目的
  • 必要な保障
  • 年収に対する生命保険料の比率
  • 貯蓄型が掛け捨て型かの選択
  • 契約方法

加入する生命保険を選ぶ際は、生命保険料から決めるのではなく加入目的をはっきりさせましょう。

加入目的と必要な保障内容が決まれば、商品を選択しやすいです。

必要な保障を決めても、年収に見合わない掛け金の保険を選ぶと支払いを続けられません。

支払いができないと保険は失効するため、無理のない金額で続ける必要があります。

生命保険は貯蓄型を選ぶか掛け捨て型を選ぶかで、保険料が変わる仕組みです。

契約方法によっても保険料が異なるため、必要なサービスと生命保険料のバランスを見ながら加入する保険を決めましょう。

生命保険は加入する目的を明確にする

生命保険を選ぶ際は、加入する目的を明確にしなければいけません。

生命保険には以下の4種類があります。

生命保険の種類 保険の内容 保険の商品
死亡保険 契約者に万が一があったときに残された家族がお金を受け取る ・定期死亡保険
・終身死亡保険
医療保険 病気や怪我で治療を受けた時に備える ・定期医療保険
・終身医療保険
・がん保険
・所得補償保険
・就業不能保険
介護保険 介護が必要になったタイミングで給付金を受け取れる ・介護保険
・就業不能保険
生存保険 将来への貯蓄として保険をかける ・個人年金保険
・学資保険
・養老保険

死亡保険は契約者に万が一があったとき、残された家族が生活できるよう備える保険です。

医療保険は病気や怪我による治療に備える保険。

入院費の補てんや、働けなくなったときの生活費を目的として保険金が受け取れます。

介護保険は介護が必要になったタイミングで受け取れる保険です。

生存保険は貯蓄性のある保険で、満期まで保険料を払い込み、満期が来たら受け取ります。

保険の目的は老後の資金作りや学費です。

契約者に万が一があったときは、以降の保険料がかからないケースもあります。

保険を選ぶなら、何を目的にするか決めましょう。

加入者が生命保険に求める保障内容

生命保険をかけている人が保険に加入した理由の上位5位は、以下の通りです。

理由 割合
医療費や入院費 59.0%
万が一があったときの家族の生活保障 52.4%
万が一があったときの葬儀代 12.4%
老後の生活資金 9.1%
・子どもの教育資金や結婚資金
・災害や交通事故への備え
※同率
7.8%

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

医療費や入院費を目的とした人と、万が一のときに備えて家族の生活保障を目的にしている人が多い傾向です。

貯蓄型か掛け捨てかでも生命保険料の負担は変わる

生命保険には貯蓄型と掛け捨て型の2種類があり、同じ種類の保険でも生命保険料の負担が変わります。

両者の違いは以下の通りです。

保険のタイプ 貯蓄型 掛け捨て型
生命保険料 高め 低め
解約返戻金 あり なし
※あっても少額
向いている人 貯蓄に重点を置きたい人 負担を抑えて保障を得たい人

貯蓄型は生命保険料が高くなる代わりに、一定の費用を積み立てられます。

積み立てた費用は、保険を解約したときに解約返戻金として戻ってくる仕組みです。

保険料を受け取るタイミングによっては、保険金の金額が支払った保険料を下回るケースもあります。

掛け捨て型は保障のみを求めるタイプで、貯蓄性はありません。

少額の掛け金で保障を得られるため、負担を抑えて保障を用意したい人に向いています。

貯蓄性を重視するのか、負担を抑えるのか、希望に合わせて保険のタイプを選びましょう。

生命保険料を抑えるなら対面契約ではなくネット保険を選ぶ

生命保険料を抑えつつ保障を得るなら、ネット保険を選びましょう。

保険の契約方法は、以下の2種類です。

保険の契約方法 対面 ネット
生命保険料 高め 低め
担当者からの説明
商品選択 担当者と相談 自分で判断

保険代理店を通して対面で契約すると、担当者から説明を受けた上で疑問にも答えてもらえます。

必要な保障も相談しながら決められるため、生命保険に詳しくなくても商品の選択が可能です。

担当者がつく分、生命保険料は高めになります。

ネット保険は生命保険の選択から契約まで、インターネットを通して自分で行う形式です。

生命保険料が低価格な半面、商品選択は自分でしなければいけません。

相談しながら契約したい人は対面、生命保険料を押さえたい人はネット保険を選びましょう。

世帯年収に対する比率も考えて無理なく備える

生命保険を契約するときは、世帯年収に対する比率も考えて無理なく備えましょう。

必要な保険に入っても、支払いを継続できなければいざというときに保険金を受け取れません。

実際に生命保険が失効した人もいます。

2018年から2021年までの3年間に保険の解約や失効を経験した人の割合は、10.3%でした。

解約や失効の理由として「掛金を支払う余裕がなくなった」と回答した人は、23.0%います。

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

世帯年収に対する生命保険料の比率は、以下の通りです。

世帯年収 生命保険料の比率
200万円未満 11.7%
200万円以上300万円未満 11.6%
300万円以上400万円未満 9.0%
400万円以上500万円未満 6.8%
500万円以上600万円未満 5.8%
600万円以上700万円未満 5.1%
700万円以上1,000万円未満 5.2%
1,000万円以上 4.2%

参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査│生命保険文化センター

世帯年収が低いほど、年収に対して生命保険料の占める割合は高い傾向です。

高くても生命保険料が年収の10%程度にとどまるよう、年収に対する比率も意識しましょう。

相場も考慮しながら必要な保障が得られるよう生命保険料を決める

保険に加入する目的が決まったら、必要な保障を得られる生命保険に加入しましょう。

以下の点も決めると、生命保険料も含めて商品を選択できます。

  • 貯蓄型か掛け捨て型か
  • 対面契約かネット保険か
  • 保険料を抑えるか保障を充実させるか

1ヶ月に6,000円生命保険料を支払えるとすれば、以下の2つの決め方が可能です。

  • 必要な保障が得られるなら保険料を月4,000円で済ませる
  • 6,000円でつけられるだけの保障をつける

掛け捨て型やネット保険を選択して本来よりも保険料が低くなったときは、浮いたお金をどうするかも決めましょう。

必要な保障が得られるなら、保険料を安く済ませる方法もあります。

保障をできるだけ充実させたいなら、受け取れる保険金が多い生命保険を選びましょう。

生命保険料の相場から保険を決める流れを確認

世帯主が30代と40代の家庭を例に、生命保険料の月額平均を元にした保険の決め方を確認しましょう。

世帯主の年齢 生命保険料の平均(年額) 月額換算の生命保険料
30〜34歳 246,000円 20,500円程度
35〜39歳 391,000円 32,600円程度
40〜44歳 331,000円 27,600円程度
45〜49歳 347,000円 28,900円程度

世帯主が30代前半なら月額平均は2万円程度、30代後半から40代は3万円程度です。

世帯主の年齢に応じて、必要な保険を選択します。

世帯主の年齢 30代前半 30代後半 40代
必要な保障 ・医療保険
・就業不能保険
・医療保険
・就業不能保険
・死亡保険
・医療保険
・就業不能保険
・死亡保険
・がん保険
年代別の特徴 病気や怪我への備えが中心 万が一があったときに残される家族の保障も加える 老後資金も準備し始める

30代前半なら、働けないときの備えが必要です。

医療保険や就業不能保険を中心として、保険料を相場の月額2万円程度におさめましょう。

30代後半になると、万が一のときに残された家族への備えも必要です。

子どもが小さいケースも多いため、死亡保険を充実させなければいけません。

死亡保険も加えて、月額3万円を超える程度の保障が適切です。

40代になると老後資金の準備も求められます。

子どもが大きくなっていれば、高額の教育資金は不要です。

死亡保険を見直すと、相場の範囲内におさまる可能性は高いです。

月額3万円を切る程度の金額で、必要な保険を選びましょう。

年収が低く生活に影響が出そうなら、相場よりも低い生命保険料で保険を選んでも構いません。

無理なく備えられるよう、商品を選びましょう。

死亡保険の金額の決め方は残された家族に必要な金額を計算する

死亡保険の金額は、残された家族にどの程度お金がかかるかを元に決めましょう。

家族構成 残された家族に必要なお金
夫婦2人の世帯 ・葬儀費用
・配偶者が若ければ自分で生計を立てられるまでの数年分の生活費
・配偶者が高齢なら老齢年金の受給開始までの生活費
子どもがいる世帯 ・葬儀費用
・配偶者の生活費
・子どもの生活費
・子どもの教育費

子どもがいない世帯では、配偶者が生活できるだけのお金が必要です。

配偶者が若い世代なら、自分で生計を立てられるまでの生活費を用意しましょう。

配偶者が正社員なら、葬儀費用があれば問題なく生活できると予想可能です。

配偶者がパートや専業主婦なら、仕事を見つけて生活できるまで1年程度の資金を用意しましょう。

配偶者が高齢で新たに仕事を始めるのが難しければ、老齢年金の受給開始までの生活費を計算します。

単身世帯の生活費は、1カ月当たり16万2,000円程度です。
参考:家計調査 家計収支編 単身世帯 │e-Stat

1年間で200万円程度の生活費がかかると考えて、必要な金額を計算しましょう。

貯蓄があるときは、貯蓄額を引いて保険で賄うべき金額を計算します。

子どもがいる世帯で必要な死亡保険の金額

子どもがいる世帯では、子どもの教育費も考慮しなければいけません。

文部科学省の調査によると、1年間の学校別の総合学習費は以下の通りです。

学校の種類 公立 私立
幼稚園 165,000円程度 309,000円程度
小学校 353,000円程度 1,667,000円程度
中学校 539,000円程度 1,436,000円程度
高校 513,000円程度 1,054,000円程度

大学も含めると、子ども1人につき1,000万円程度の費用がかかります。

子どもが1人なら、配偶者や子どもの生活費も含めて2,000万円程度必要です。

私立に通うなら子ども2人で5,000万円程度と、まとまった費用が必要になるケースも。

子どもの年齢や通いたい学校もふまえて、必要な金額を計算しましょう。

死亡保険2,000万円から5,000万円受け取るには月額いくら払えばいいか検証

死亡保険は受取額によって支払う生命保険料も変わります。

生命保険会社のシミュレーションを元に、月額の生命保険料の例を掲載しました。

契約者は45歳男性とします。

保険会社と商品名 タイプ 2,000万円受け取り 5,000万円受け取り
オリックス生命「定期保険ファインセーブ」 掛け捨て(15年満了) 8,100円程度 19,100円程度
アフラック「かしこく備える終身保険」 貯蓄型 59,300円程度

参考:保険料シミュレーション│オリックス生命
参考:死亡保険(生命保険)│アフラック

将来2,000万円受け取るために貯蓄型の保険を契約するなら、保険料は約6万円。

保険料が高額になるので、日常生活に影響が出ないか必ず確認しましょう。

掛け捨てか貯蓄型かで、保険料は大きく違います。

生活に余裕がなければ、掛け捨て型の保険から始めるのも手です。

仕事で昇進して給料が上がる、転職で収入に余裕が出たときに、保険料が高い手厚い保険に変更しましょう。

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